累風庵閑日録

本と日常の徒然

『新青年傑作選 第一巻 推理小説編』 中島河太郎編 立風書房

●一夜明ければ新玉の春でございます。本年もよろしくお付き合いのほど、よろしくお願い申し上げます。

茨城県古河にて年を越す。自宅から遠すぎず近すぎずの距離で手頃なビジネスホテルがある土地、ということで選んだので、この街に何も用事はない。大浴場で朝風呂を浴び、ホテルの朝食をたっぷり喰い、八時にチェックアウト。今日はもうどこにも寄り道せずまっすぐ帰宅する。

●ホテルの部屋で、『新青年傑作選 第一巻 推理小説編』 中島河太郎編 立風書房 を読了。

 収録作中のベストは海野十三「三人の双生児」であった。極めて異常でグロテスクな物語が、内容の割にやけに明るいトーンでつづられる異様さ。この軽みは作者の持ち味か。

 私がミステリに期待するのは、伏線、ロジック、そして短編の場合は切れ味、といった要素である。そういう点で、再読でも十分面白かったのが葛山次郎「赤いペンキを買った女」、大阪圭吉「三狂人」、守友恒「死線の花」、横溝正史「探偵小説」といったところ。江戸川乱歩二銭銅貨」は、何度読んでも青年乱歩の才気がきらめくようだ。久生十蘭ハムレット」は別格の、凄みのある傑作。

●今年の展望を書いておく。

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◆本は、最低でも百冊は読みたい。月十冊平均で百二十冊も読めれば上出来である。

◆論創海外ミステリは、遅くとも刊行の翌月には読むペースを維持したい。最近ちっとも刊行されない論創ミステリ叢書も、出たら出たで早めに読む。国書刊行会の奇想天外の本棚は、今のところ三冊遅れをとっている。これもせいぜい早めに読みたいけれども、追いつけるかどうかは分からない。

 原書房のヴィンテージ・ミステリー・シリーズを、十冊は読みたい。本日読み終えた新青年傑作選を、できればもう一冊読みたい。改造社のドイル全集は、残すところあと二冊である。これは今年読破したい。臨川書店ウィルキー・コリンズ傑作選は、残すところあと四冊である。これも今年読破したい。

◆今年は横溝関連のイベント、企画、同人誌がいろいろ動く年である。せいぜい参加したいし、積極的に関わりたいし、精一杯楽しみたい。

◆旅行は、すでに動き出している計画がひとつある。切符は購入済みだしホテルも予約した。他にもちょいと遠方への旅行を考えている。この二カ所が今年の旅行計画の大ネタである。温泉にも何度か泊まりに行きたい。でもたぶん、旅行関連の話題は公開日記には書かない。