累風庵閑日録

本と日常の徒然

『氷川瓏集 睡蓮夫人』 ちくま文庫

●『氷川瓏集 睡蓮夫人』 ちくま文庫 読了。

 怪奇探偵小説名作選の第九巻である。一番面白かったのが、「風原博士の奇怪な実験」であった。題材、展開、結末と、どれをとっても戦前のいわゆる変格探偵小説の味わいが濃厚である。「春妖記」は、都会の喧騒を離れ山野を散策して開け暮らす日々に憧れる。「華胥の島」は、平穏な観光旅行がふいに悪夢のような状況に変わる、その転調がお見事な怪談話。「風蝕」は、結末にはあまり感銘を受けなかったけれども、友人の失踪の謎について主人公が一歩一歩調査を進めてゆく過程を面白く読んだ。

●書店に寄って本を買う。
『紙片は告発する』 D・M・ディヴァイン 創元推理文庫
どうやら今月出るらしいと噂に聞いていた『横溝正史研究6』は、結局三月に持ち越しだそうな。それでもどうでも、ともかく刊行されるなら目出度いのだが。

●今月の総括。
買った本:三冊
読んだ本:十一冊