累風庵閑日録

本と日常の徒然

『増補版 時刻表昭和史』 宮脇俊三 角川文庫

●旅のお供に持って行った、『増補版 時刻表昭和史』 宮脇俊三 角川文庫 を読了。

 鉄道にまつわる著者の回想は、私自身の過去の記憶をも呼び覚ます。昭和初期とはもちろん比較にもならないが、私が覚えている範囲だけでも、かつての国鉄から現在のJRへとずいぶん様変わりしてしまった。自分語りをしてもしょうがないので、具体的なことは書かないけれども。

 そしてやはり読み所は、題名の通り鉄道を介した昭和前期の世相であろう。個人を否定し個人を押しつぶす狂気の時代。ここに描かれたそんな状況は、遠い過去の話である。間違っても、近未来の状況だなんておぞましいことにはならないで欲しいものでござんす。