累風庵閑日録

本と日常の徒然

『ドラキュラのライヴァルたち』 M・パリー編 ハヤカワ文庫

●『ドラキュラのライヴァルたち』 M・パリー編 ハヤカワ文庫 読了。

 作者不詳の「謎の男」が面白かった。ストーカーの「ドラキュラ」以前に、こんなお約束通りの作品があるとは。ストーカー後の作品であるフレデリック・カウルズ「カルデンシュタインの吸血鬼」も、お約束を盛り込んで安定している。この作品はまた旅行記の趣もあって、その点も読んでいて楽しい。

 E&H・ヘロン「ベールブラウ荘奇談」はフラクスマン・ロウシリーズの一編である。怪現象を論理で説明しようとするのが、なるほどこういうのがオカルト探偵か、と思う。E・エヴァレット・エヴァンズ「生ける亡者の死」は、おぞましく恐ろしい吸血鬼を題材にしていながら、やけに抒情的な物語を紡いでみせる。

●人間ドックに行ってきた。経鼻カメラは実際苦しかったのだが、技師殿の腕がいいのか、去年の記憶よりも楽だった。