累風庵閑日録

本と日常の徒然

『怪盗ニック全仕事1』 E・D・ホック 創元推理文庫

●『怪盗ニック全仕事1』 E・D・ホック 創元推理文庫 読了。

 こういう、明るく軽快な作品集は久しぶり。さくさく読めて上々である。「真鍮の文字を盗め」は作りすぎという気がしないでもないが、出来上がった絵柄が上手く納まっている。「邪悪な劇場切符を盗め」と「シルヴァー湖の怪獣を盗め」とは、冒頭の謎が魅力的。

「弱小球団を盗め」は展開に緊迫感があるし、多くの伏線が嬉しいし、最後のオチが秀逸。「笑うライオンを盗め」は伏線がズバリ決まって収録作中のベスト。

●今年から創元推理文庫のニック全仕事を読み始める。年二冊読むとして、三年計画である。たぶん三十年ほど前に読んだポケミスの『怪盗ニック登場』は、今となってはまるで覚えていない。シリーズをまとめて読むのはほぼ初めてに近いが、一冊読んでみてだいたいの味わいは分かった。

●同人誌は、なんとまあ発売当日に完売した。ありがといことであるが、驚きの方が大きい。ただちに増刷をかけた。こんなに反響があったのも、某氏に描いていただいたあの表紙絵のおかげである。