●『新青年傑作選 第二巻 怪奇・幻想小説編』 中島河太郎編 立風書房 読了。
歳とともに小説の好みが変わってくるってえのは、さして珍しいことではないだろう。今、国内の怪奇・幻想系探偵小説はあまり響かなくなっている。暗く、哀しく、ねちこい作品を読むのはもうしんどい。収録作の大半が既読で個人的に新鮮味がなかったこともあって、全体ほぼ目を通しただけであった。
コメントを付けたい作品は多くない。米田三星「蜘蛛」は殺人者のねちねちとした一人語りから始まる情念の物語だと思っていたら、理知の物語に着地するのが予想外な面白さであった。
