累風庵閑日録

本と日常の徒然

『恐怖は同じ』 C・ディクスン ポケミス

●『恐怖は同じ』 C・ディクスン ポケミス 読了。

 十八世紀末のロンドンを舞台に、主人公の快男児が決闘に謎解きに逃避行にと縦横に活躍する。ちょいと痛快な時代劇である。現代に生きる主人公とヒロインとが、なんだか知らんけど百五十年前にタイムスリップしちゃった、という人を喰った設定が楽しい。

 ミステリだからもちろん、殺人とその解決もきっちりと描かれる。解決部分でなぜかさらりと流されているけれども、犯人が使った仕掛けは長編を支えるに足るものである。