累風庵閑日録

本と日常の徒然

『虐殺の少年たち』 G・シェルバネンコ 論創社

●『虐殺の少年たち』 G・シェルバネンコ 論創社 読了。

 警察小説の秀作。凄惨だが一見単純な事件の裏に潜む真相を、主人公の警官が信念と正義感でもって追及してゆく。事件があまりにも陰惨なので、面白いというのは語弊があるが、とにかくページをめくらせる力が抜群である。

 イタリアン・ノワール、だそうで。読んで大満足だったけれど、もともとこういうタイプの作品は私の守備範囲ではない。単発で刊行されたら、まず手に取ることはなかったはず。論創海外を全部読む、という取り組みには、何もしなければ縁がなかった本に思いがけず出合える利点もあるのだ。