累風庵閑日録

本と日常の徒然

『誰もがポオを読んでいた』 A・R・ロング 論創社

●『誰もがポオを読んでいた』 A・R・ロング 論創社 読了。

 やあ、これは面白い。なかなかの快作である。ポオの作品に見立てた連続殺人という外連味が嬉しい。こういう理由でこの人物が犯人で、動機や犯行手順はこれこれで、という推論が、関係者それぞれに順番に当てはめられるように次々と繰り出されてゆく。この、ぐるぐる回っている感じが楽しい。一番感心したのは、ある殺人での犯人のアリバイ工作である。大胆というより、ぬけぬけと、と言った方がいいアホらしいネタに、思わず口が開く。

 偶然だが、今月はロングの邦訳第二作目が、同じく論創海外から出る。近いうちに買うつもりだし、順調にいけば年内に読めるはず。そっちも楽しみである。