累風庵閑日録

本と日常の徒然

『江戸川乱歩と13の宝石 第二集』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫

●『江戸川乱歩と13の宝石 第二集』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫 読了。

 間に三日間の長崎旅行を挟んで、読了までに五日もかかってしまった。山村正夫「獅子」は、見事な切れ味の結末によって人物造形が際立つ。土英雄「切断」は、短いページなのにタイムリミット・サスペンスの緊迫感がきちんと迫ってくる。島田一男「泥靴の死神」は、地道な捜査を描いて私好み。

 収録作中のベストは、佐野洋「金属音病事件」である。SF的な題材に馴染みがなくて新鮮だし、腰砕けのようなそうでないような不思議な結末が記憶に残る。