収録作中のベストは「無口な車掌」であった。題名が効いているし、事件の真相も物語の結末もいい感じ。掌編と言っていい作品なので、余計な描写がなく切れ味の鋭さが際立つ。この作品は以前、光文社文庫の『江戸川乱歩の推理教室』で読んだときにも気に入った作品として日記に挙げていた。
他には、展開の捻りと着地点の意外さとで「いなくなったあいつ」、「危険な貯金」、「不運なチャンス」が秀逸であった。特に「不運なチャンス」は、たっぷりとページを確保して警察の捜査の模様をじっくり描く展開も私好み。結末のスピード感も上出来。これが次点である。
●書店に寄って本を買う。
『世界短編傑作集６』 戸川安宣編 創元推理文庫
『連続自殺事件』 Ｊ・Ｄ・カー 創元推理文庫
『ダミー・プロット』 山沢晴雄 創元推理文庫
●注文していた本をコンビニで受け取ってきた。
『劉夫人の腕輪』 甲賀三郎 大陸書館
