累風庵閑日録

本と日常の徒然

『四つの福音書の物語』 F・W・クロフツ 論創社

●『四つの福音書の物語』 F・W・クロフツ 論創社 読了。

 翻訳ミステリを読み始めて四十年近く。それらの本にはキリスト教関連の単語が当然のように出てくるので、目についてはいた。だが、体系的な知識となると全くのゼロである。福音書がどういうものか知らなかったし、そもそも「ふくいんしょ」と読むことすら知らなかった。「ふくおんしょ」だとばかり思っていた。

 宗教としてのキリスト教には小指の爪の先ほどの興味もないが、欧米文化の基盤としてのキリスト教は、知っておいて損はないだろう。翻訳ミステリをより深く楽しむための副読本として、本書に目を通してみた。

 さあて、全体の三~四割ほども理解できただろうか。キリストの生涯について、ぼんやりとした全体像のようなものは見えた気がする。それ以上の感想は書けない。

 巻末解説に、このような宗教書をミステリ叢書で出すことの意味が書いてある。言わんとするところは分かるが、分かることと共感することとは別の話である。連番になっているから買ったけども。この叢書は全部読むことにしているから読んだけども。