「孤独」は、ロジック、殺人手段、動機、といった要素がそれぞれちょっとした出来栄え。しかもそれらが短いページに詰め込まれており、全体なかなかの濃度である。
「火の山」は、舞台背景と密接に結びついたネタと犯人設定とに感心。「雲と屍」は、密室の原理的問題と技術的問題という議論が面白い。伏線もお見事。
メインの長編「疑惑の夜」は、（伏字）ような展開にかなり荒っぽいところがあるが、概ね面白く読めた。罪の発覚を恐れる殺人者、という倒叙ものかと思ったら、そこから意外な方向に発展する。足元が揺らぐような不可解さと、怪物めいた悪役の出現がサスペンスを高めている。
●今日はこの日記をアップした後、夕方から横溝ファンのオンライン飲み会をやる。
