●『千両文七捕物帳 第三巻』 高木彬光 捕物出版 読了。
「荒寺の鬼」が収録作中のベスト。私としてはミステリ趣味が最も色濃い作品が、やはり最も面白い。「悪魔の牙」はホームズの某作品を下敷きにして発展させ、翻案の域を脱して独自の物語に仕立てているのが読んで楽しい。
「謎の三千両」は、いかにも娯楽時代劇として映画になりそうな外連味と終盤の見せ場がちょっとしたもの。この複雑な人間関係は映画で描くのは難しいかもしれんけど。「直侍雪の夜話」は仕掛けの勝利。「宗俊牢屋ばなし」は河内山宗俊と千両文七との騙し合いで、こういうのも口が変わって面白い。
●注文していた本が届いた。
『幻影の部屋』 楠田匡介 湘南探偵倶楽部
『支那貴族の真珠』 R・A・フリーマン 湘南探偵倶楽部