累風庵閑日録

本と日常の徒然

『マリンゼー島連続殺人事件』 D・ホイートリー 中央公論社

●『マリンゼー島連続殺人事件』 D・ホイートリー 中央公論社 読了。

 捜査ファイル・ミステリーシリーズの第三巻。わずか八十ページほどで連続殺人を描く、なかなかに忙しい作品である。しかも第一の殺人は密室だというにぎやかさ。添付の小道具に手掛かりがあるのがこのシリーズのウリで、今回はちょっと感心する仕込みであった。ある手掛かりの扱いにはしてやられた。その他の伏線もシンプルで面白い。

 密室ネタはなるほどと思うし、犯人の設定には外連味があって、満足度の高い佳品であった。犯人と動機とは途中でふと頭に浮かんでしまったので、意外さは感じなかったけれども。

 真相に至る筋道で弱いと思ったのは(伏字)点に説明が見当たらないこと。これは、私の読み落としかもしれない。

●注文していた本が届いた。
『嬰児虐殺』 倉田啓明 東都我刊我書房