とにかく登場人物達が活き活きと描かれていて大変によろしい。探偵活動に夢中になるティモシー少年、傲慢で軽率で陰険なポール、極端なほど一生懸命主人に仕えるメイドのオグルなど、人間味があふれている。泰然としてつかみどころのないエイドリアンですら、やけに魅力的である。なかでも突出しているのはローズマリーで、この人の駄目さ、嫌さ、愚かさはどうも突き抜けている。実際に居たら絶対にお近づきになりたくない強烈な個性を発揮して、まったく、助演女優賞ものである。
犯人設定は、途中でもしかしたらと頭に浮かんでしまったので意外性は感じなかった。それでも、ミステリならではのネタがきっちり仕込まれているので、型通りが好きな私としては満足度が高い。面白かった。