累風庵閑日録

本と日常の徒然

「人形佐七捕物帖 恐怖の通り魔」

東映の「人形佐七捕物帖 恐怖の通り魔」を観た。若山富三郎演じる佐七がなんとも濃い。付き従う辰五郎は、大泉滉が怪演している。原作小説に「通り魔」があるが、内容からして無関係のようだ。

 幕府御用商人が通り魔に殺害される事件が立て続けに発生した。彼らには抜荷の疑惑があり、奉行所が探索しているさなかの椿事である。そんな裏面の事情を知らない江戸の庶民の間からは、いつまで経っても下手人を捕まえられない奉行所を糾弾する声が出始めた。

 特にひねりもない、ありがちで平板な展開であった。黒幕は意外にも……と言いたいところだが、これも時代劇にはありがちな真相である。せっかく、盲目で凄腕の剣の使い手だなんて際立った特徴を持つ敵役を登場させておきながら、殺陣ではその特徴を活かしているようには見受けられず。