累風庵閑日録

本と日常の徒然

『材木座の殺人』 鮎川哲也 双葉社

●『材木座の殺人』 鮎川哲也 双葉社 読了。

 三番館シリーズの第四集である。気に入ったのは以下のようなところ。状況の不可解さが犯人に直結する「棄てられた男」、扱われる謎が魅力的な「人を呑む家」、犯人の計画がいかにもミステリ的な「同期の桜」。

 個人的ベストは「停電にご注意」であった。(伏字)という力づくのネタが嬉しい。これをやっちゃったらなんだってできるではないかとは思うけれども。もう一点、あるシンプルな決め手がある。他の収録作ならこのくらいのネタひとつで済ましそうなところ、大ネタとの組み合わせが異色の構成である。

●昨日街に出たので、ついでに書店に寄って本を買った。
『メグレとマジェスティック・ホテルの地階』 G・シムノン ハヤカワ文庫
『愚か者の祈り』 H・ウォー 創元推理文庫

●街に出たのは、映画「人形佐七捕物帖 裸姫と謎の熊男」を観るのが目的である。六年前、原作の「雪女郎」と映画シナリオとの読み比べをやった。大幅な内容改変にあれれれと思ったものだが、当時映画を観ることはできなかった。今回は嬉しい上映である。

北九州市立美術館分館で開催されている、「没後50年 松野一夫展」の図録が届いた。箱入りの立派な造本で、中身も充実。これはいい。