●『BRUTUS図書館 山田風太郎 風太郎千年史』 新保博久編 マガジンハウス 読了。
二十五年前の刊行である。当時、「妖異金瓶梅」シリーズのうち「銭鬼」が手軽に読めない状態だったので、それが目的で買ったのであった。ところが読まないうちに扶桑社文庫で『妖異金瓶梅』が出て、そっちを既に読んでしまった。本書を買った目的は今や失われているのだが、せっかく買ったのだから、読む。
既読初読を問わず面白かった作品は以下のようなところ。動機の奇想が凄まじい「赤い靴」と「銭鬼」、馬鹿馬鹿しさが突き抜けて天晴れな「忍法小塚ッ原」、歴史上の有名人が右往左往するにぎやかさの中に殺人事件が起きる「巴里に雪のふるごとく」。