累風庵閑日録

本と日常の徒然

『バーニーよ銃をとれ』 T・ケンリック 角川文庫

●『バーニーよ銃をとれ』 T・ケンリック 角川文庫 読了。

 主人公は平凡な小市民。インフレと不景気とで家計は火の車である。似たような境遇にある二人の仲間を語らって、ちょっとした詐欺を目論んだ。それが予想を超える展開となり、強大な敵から命を狙われる羽目になる。相手は中南米の独裁者で、クーデターを逃れて現在はニューヨークに潜伏している。

 襲ってくるのは独裁者が抱える私設軍隊。二十四人のプロ中のプロである。主人公側の三人は軍事教練のプロを雇い、森林地帯の小屋に立てこもる。周辺に数々のトラップを仕掛け、敵がやってくるまでのわずかな期間に、必死で付け焼刃の戦闘訓練を積み重ねる。

 今となっては三十年の昔、ちょいちょい冒険小説を読んでいた頃を思い出す。設定からしてワクワクするし、アクションは熱いし、サスペンスも上々。展開の捻りもあるし、結末もお見事。上出来の娯楽小説であった。こいつは面白い。