累風庵閑日録

本と日常の徒然

『サム・ホーソーンの事件簿VI』 E・D・ホック 創元推理文庫

●『サム・ホーソーンの事件簿VI』 E・D・ホック 創元推理文庫 読了。

 収録のどの作品も伏線沢山だし解決はロジカルだし、このシリーズは本当に安心安定の面白さである。気に入った作品はたとえば、犯人の行動の理由が面白い「旅人の話の謎」、事件の絵柄が強烈な「中断された降霊会の謎」、犯行が成立する理由が面白い「黒修道院の謎」、といったところ。

 特に秀逸だったのが、「巨大ノスリの謎」と「羊飼いの指輪の謎」の二作品であった。魅力的な謎、真相の面白さ、散りばめられた手掛かり、と三拍子揃っている。前者ではただ一点、(伏字)だったことがちと残念だけれども。後者ではオチもずばり決まっている。

 これで、シリーズ全六巻を読み終えた。来年からはサイモン・アークシリーズを読み始める。