累風庵閑日録

本と日常の徒然

年内最後

●年内最後の更新である。

●今年一年、皆様にはお世話になりました。ありがとうございます。来年もまた、よろしくお願いいたします。

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●今年の総括

◆全体的に平穏で、時間にも気持ちにもゆとりのある一年であった。六月に再開したジム通いが、今もまだ続いている。体重がわずか一キロ少々しか減っていないのがどうにもこうにもだが、筋力は多少アップしているように思う。来年も続けたいものである。

◆本に関しては
買った本:百二十五冊
読んだ本:百二十一冊
積ん読が四冊増えたわけだ。

 同人誌や私家版を含め、正規の流通ルートに乗らない本をずいぶんと買った。ネットのおかげである。読む方は、ついに論創ミステリ叢書に手を出して、一年間で三十六冊読めた。新刊に追いつくのはまだ何年も先のことであるが、着実に読み進めていきたい。

◆読んだ本の中から面白かった作品を題名だけ挙げる。順位もコメントも無し。
・『血染めの鍵』 E・ウォーレス 論創社
・『ダイヤルMを廻せ!』 F・ノット 論創社
・『犯罪コーポレーションの冒険』 E・クイーン 論創社
・『大庭武年探偵小説選I』 論創社
・『牧逸馬探偵小説選』 論創社

・『物しか書けなかった物書き』 R・トゥーイ 河出書房新社
・『ダイヤルAを回せ』 J・リッチー 河出書房新社
・『ウォンドルズ・パーヴァの謎』 G・ミッチェル 河出書房新社
・『ナツメグの味』 J・コリア 河出書房新社
・『10ドルだって大金だ』 J・リッチー 河出書房新社

・『墜落のある風景』 F・フレイン 創元推理文庫
・『新・顎十郎捕物帳』 都筑道夫 講談社文庫
・『とむらい機関車』 大阪圭吉 創元推理文庫
・『M・R・ジェイムズ怪談全集』(全二巻) 創元推理文庫

・『妖盗S79号』 泡坂妻夫 文春文庫
・『章の終わり』 N・ブレイク ハヤカワ文庫
・『二輪馬車の秘密』 F・ヒューム 新潮文庫
・『雪割草』 横溝正史 戎光祥出版

 例外として、『三十棺桶島』 M・ルブラン 偕成社 にだけはちょいとコメントを付ける。横溝正史はルブランから多くの影響を受けているが、本書もまた正史の発想に多大な影響を及ぼしているようである。この作品には、たとえば以下のような要素が出てくる。女性を誘拐して無理矢理結婚する貴族、三十人の生贄を求める三十の棺桶、地下に張り巡らされた洞窟とそこに隠された宝。これって「八つ墓村」ではないか。アルシニャの老婆三姉妹も、もしかしたら小梅小竹姉妹に影響を与えてはいないか。

◆横溝関連は、吃驚するくらい盛り上がった年であった。まず第一のビッグ・ニュースが、「雪割草」の刊行である。また、柏書房の「横溝正史ミステリ短篇コレクション 」が目出度く完結した後、「由利・三津木探偵小説集成」の刊行が始まったのも素晴らしい。角川文庫の『丹夫人の化粧台』刊行も喜ばしい。

 関連書籍としては、論創海外の『シャーロック・ホームズの古典事件帖』が筆頭に挙げられる。ホームズものの翻訳・翻案集で、横溝正史が少年時代に読んだという「肖像の秘密」が収録されているのだ。もう一冊挙げるなら、同じく論創海外のエドガー・ウォーレス『血染めの鍵』か。横溝長編「(伏字)」で使われている、ある趣向の元ネタである。

 横溝読書会が二度開催された。会場はどちらも、今やすっかり横溝ファンのホームグランドになりつつある、「西浅草黒猫亭」である。この店では他に、「黒猫亭事件」の朗読会ってのも開催された。

 洪水被害に見舞われた倉敷市真備町では、無理だと思っていた「1000人の金田一耕助」がまさかの開催。大変なことである。

 横溝ファン関連のオフ会やイベントとしては、那須塩原温泉お泊り会、仙台オフ会、長崎オフ会、山梨市の横溝正史館にてフルートの演奏会、早稲田の演劇博物館訪問、といったところ。

 個人的には、「横溝正史『女シリーズ』の初出を読む」プロジェクトを完結させ、続いて次なるプロジェクト「横溝正史が手掛けた翻訳を読む」に取り組み始めた。これは来年も継続する。また、長らく積ん読だった論創社横溝正史探偵小説選』の、第一巻と第二巻とをようやく読めた。

 映像関連や芝居方面でもいろいろあったようだが、詳しくないので省略。

◆映画は、まったく低調であった。せっかく外付けブルーレイドライブを買ったものの、自分の時間は優先的に読書に充ててしまって、観たのはわずか十二本。それはそれで本に集中できたからいいけれども、もう少し何とかならんもんか、とは思う。

◆旅行は、上記の岡山、那須塩原温泉、仙台、長崎、山梨日帰り以外に、広島姫路、宮崎に行った。姫路城に行ったことで、現存十二天守を全て巡ったことになる。これで、旅行のテーマがひとつ完結した。