累風庵閑日録

本と日常の徒然

『横溝正史の世界』 徳間書店

●『横溝正史の世界』 徳間書店 読了。

 長らく積ん読だったが、ようやくちゃんと読んだ。いくつか興味深い記述があるのを、箇条書きしておく。添付の数字は該当するページ。

◆昭和三年、文芸倶楽部の編集長になった正史は、怪談特集の増刊号を出した。そこに正史が口述で書かせた新作怪談があるという(P75)。それがどの作品なのか、今となっては確たることは分からないだろう。

◆岡山疎開中に西田政治から送ってよこした本のうち、ガードナーの「夢遊病者の姪」が後に「夜歩く」になったという(P137)。そういうことなら読んでみたい。某所で検索したらみつかったので、早速注文した。

疎開時代に正史が書いたという素人芝居の台本。基本的なストーリーは依頼者側が考えたものらしい(P234)。二編書いたらしく、脱稿は昭和二十二年二月十三日と十四日(P235)。これが隣村の分。

 その後、岡田村女子青年部向けにその台本を廻す(P238)。その題名は「母二人」か(P241)。同時期に、岡田村青年団向けにもう一編書いている。こちらの題名は「故郷」(P238)。こちらの脱稿は三月十五日(P239)。

◆七月十三日、放送用の随想「村の生活」を書く(P250)。放送されたのは十八日(P251)。