累風庵閑日録

本と日常の徒然

『ぺてん師と空気男』 江戸川乱歩 光文社文庫

●さて、一夜明ければ新玉の春でございます。本年もよろしくお願い申しあげます。

●例年ならどこか手頃のビジネスホテルに泊まりに行って年を越すのだが、今はそんな状況ではない。寝ても起きても自宅のままである。こうなると正月なんて有って無いようなもので。という訳で朝飯はカレーを作る。煮干しと昆布の出汁と、レトルトのトマトソースとをベースに、しっかり大蒜を効かせてスパイス沢山の辛い奴。

●『ぺてん師と空気男』 江戸川乱歩 光文社文庫 読了。

 同時収録の少年探偵団シリーズ三編は去年のうちに細切れに読んだ。昨日から読んでいた表題作を午前中に読了。なんとも頼りない作品である。短編で済むような本筋に、膨大な小ネタ中ネタを絡ませて長編としての体裁を整えたような。

 というのが終盤までの感想であったが、読了して変わった。かさ増し、あるいは装飾と思えた数々の要素は、結末を補強する作用をしているのであった。ちょっと感心した。

●正月なんか無いと言っておきながら、都合のいい部分だけ正月を持ち出す。今日は正月だから特別に、昼酒をかますことにする。肴は鰰を焼いたの、蟹味噌、仕込んでおいた蕪の甘酢漬け、はんぺんを焼いて山葵醤油。日本酒の吟醸をちくっとやる。

●ここからは、今年の展望や目標を書いておく。と言っても先のことがまるで見えないのだが。

◆去年から引き続き、春陽堂書店の佐七全集が継続。柏書房から横溝ジュブナイル集の刊行予定。先々楽しみなことである。

◆遅くとも春までには、横溝関連で始めた個人的取り組みが形になるはずである。他に横溝関連ではオンライン読書会を継続したいし、オンライン飲み会も続けていきたい。

◆本は、論創ミステリ叢書を読み進めていきたい。年内に二十五冊くらいは読めればいいのだが。その他の本も含めて合計百冊も読めれば上出来である。

◆旅行について。去年の年間旅行予算をほぞそのまま繰り越したので、今年の予算は例年の倍である。だが、たとえ予算が潤沢だからとて、それを使う機会があるのかどうか全く分からん。

 映画について。去年は楽しみにしていた作品が次々に公開延期になって閉口した。今年はどうなることか、全くわからん。