●『シャーロック・ホームズの知恵』 長沼弘毅 朝日新聞社 読了。
そつなく簡潔に書かれた、オーソドックスなシャーロキアン本。という捉え方はもちろん間違いなので。既存の基準に照らしてオーソドックスなのではなく、本書こそがまさしく基準となるべき基本図書なのである。
ドイルの熱意は歴史ものにこそ向けられていた。ホームズのモデルはベル教授である。この二つに通説に対して、ドイルの親族が異を唱えていることは本書で初めて知った。また、ベル教授の推理のエピソードがいくつも紹介されているのが興味深い。
著者自身がウォーミングアップと述べている通り、あまり突っ込んだ内容ではない。だからこそ広く浅く様々な項目に満遍なく目が配られて、シャーロキアンではない私でも気軽に楽しめる。
●今年から、長沼弘毅の一連のシャーロキアン本を読んでゆくことにする。年一冊だと読破までに九年もかかってしまうから、もう少しペースを上げたいところではある。実際はどうなるか分からないけれども。