●『祕密第一號 他一篇』 改造社 読了。
昭和五年に刊行された、世界大衆文学全集の第十一巻である。表題作、シドニイ・ホルラア「祕密第一號」はなかなかご機嫌な通俗スリラー。悪の秘密結社と主人公の青年との闘争劇が、早いテンポで描かれる。とにかく分かりやすいのが身上で、どこかで読んだような展開が次から次へとたたみかけてくる。
舞台を江戸時代の日本に移して、幕府転覆を企む賊徒集団と青年剣士との闘いに仕立ててもそのまま通用しそう。結局、スリラー調娯楽物語の骨格は、洋の東西を問わず似通っているということか。
併録のシェンキヴィッチ「モンテ・カルロにて」は、間延びしたくどい文章でつづられる、起伏に乏しいメロドラマ。訳者による本の序文に曰く、「少し静かなものを選んだ」そうで。
ついでに書いとくと、作者名のうち「ヴィ」は本来なら「ヰに濁点」の表記であるが、なんと環境依存文字だそうで。ここでは便宜的に「ヴィ」を使っておく。
●書店に寄って本を買う。
『裏切りの塔』 G・K・チェスタトン 創元推理文庫
『運命の証人』 D・M・ディヴァイン 創元推理文庫
●お願いしていた本が届いた。
『夜光魔人』 大下宇陀児 湘南探偵倶楽部
『休日のミッション』 L・ブルース 湘南探偵倶楽部
『からし菜のお告げ』 L・ブルース 湘南探偵倶楽部