枠組みは単純である。作中の時期は第二次大戦中。海辺の保養地にある「無憂荘」に、ドイツのスパイ組織の重要人物が潜り込んでいるらしい。下宿人として「無憂荘」に滞在し、敵の正体を暴け!
作中で何度か見え隠れする(伏せ字)というモチーフが、真相と結びついている構成にちと感心した。ただ、関連する描写にどうも違和感があったので、結末に至る前に真相に気付いたけれども。
とある手がかりがスパイの正体につながると同時に、(伏字)することでレッドヘリングの役目も果たしている。こういうクリスティのテクニックを読むのは嬉しい。
●注文していた本をコンビニで受け取ってきた。
『振袖小姓捕物控 第一巻』 島本晴雄 捕物出版