累風庵閑日録

本と日常の徒然

『フランケンシュタイン』 高木彬光 偕成社

●『フランケンシュタイン』 高木彬光 偕成社 読了。

「少年少女世界の名作」の第十二巻で、原作/シェリーとしてある。冒頭の「この物語について」によれば、高木彬光が内容を多少はぶいたりおぎなったりしているという。原典と比較してみたいが、昔読んだ創元推理文庫の内容はすっかり忘れている。当時しんどい思いをしたことは覚えているから、再読するのも気が乗らない。次善の対応としてWikipediaのあらすじを参照すると、実際は多少どころではない改変が施されているようだ。

 特に著しい違いは、イゴールなる怪人物が登場する点。イゴールは原典に登場しない映画オリジナルの人物で、フランケンシュタインの助手である。ところが本書では助手どころか、悪のマッドサイエンティストとして一方のキーパーソンに位置付けられている。(伏字)なんて、突き抜けた怪人ぶりを発揮する。人造モンスターよりもむしろイゴールが悪の親玉として前面に出ている感がある。

 本書はわりとさくさく読めて、しんどい思いはしなかった。それがどこまで省略とアレンジのおかげなのか。これ以上の詳細な比較は、彬光マニアさんにお任せする。