●『マクシミリアン・エレールの冒険』 H・コーヴァン 論創社 読了。
なにしろ十九世紀後半の作品だから、ロジックや伏線の妙味を期待してはいけない。最初からそういうものだとわきまえて臨むと、これがなかなか楽しい読物で。帯にデカデカと書いてあるように、ホームズを彷彿とさせる主人公マクシミリアン・エレールの造形が楽しい。彼が真相に到達する過程の素朴さが楽しい。
ゴシックロマンスの風味が漂ったり(伏字)ネタがとび出したりと、いかにも十九世紀の小説らしい味わいが、これはこれで楽しい。ちょっとした捻りがあって、意外性が仕掛けられていること自体が意外であった。
●書店に寄って本を買う。
『恐怖』 A・マッケン 創元推理文庫