累風庵閑日録

本と日常の徒然

2024-12-01から1ヶ月間の記事一覧

年内最後

●年内最後の更新である。今年の総括をやる。 ======================== ◆今年一年で買った本:百二十四冊読んだ本:百三十八冊 積ん読が十四冊減ったわけだ。 ◆読んだ本の中から特に面白かったもの、記憶に残ったものを挙げておく。…

『白昼の悪魔』 A・クリスティー 早川書房

●『白昼の悪魔』 A・クリスティー 早川書房 読了。 三十年以上ぶりの再読。当然細かな点はすっかり忘れていたが、読んでいるうちに案外思い出してくるものだ。一読三嘆、これは上出来であった。犯行計画はよく考えられているし、しかもその基本思想はシンプ…

十一郎会事件

●読むのがしんどい捕物帳を、半分まで。ここで中断して、読了は来年に持ち越す。明日からは別の本を手に取る。 ●本を買う。『十一郎会事件』 梅崎春生 中公文庫『アバーネティ家のパセリ シャーロック・ホームズ ~語られざる事件~』 Ah 幻冬舎

『ギデオンの一日』 J・J・マリック ハヤカワ文庫

●『ギデオンの一日』 J・J・マリック ハヤカワ文庫 読了。 いわゆるモジュラー型というやつで、複数の事件を同時並行で扱う形式である。相互に無関係だったり黒幕が共通だったりする様々な事件が、昼夜問わず次々に発生する。主人公ギデオン警視は犯罪発生…

『春にして君を離れ』 A・クリスティー クリスティー文庫

●『春にして君を離れ』 A・クリスティー クリスティー文庫 読了。 主人公ジョーンが、今までの人生の回想を通じて自らの内面に分け入ってゆく。これがもう、はちゃめちゃに面白い。彼女の自認では、自分は絶対に正しく、間違っているのは常に他人である。周…

『夏の窓辺は死の香り』 D・モーズリー 論創社

●『夏の窓辺は死の香り』 D・モーズリー 論創社 読了。 こいつは傑作。心に闇を抱えた人、世の中に生き辛さを感じる人、まっとうに生きていけない人。そういった人々が、主人公キャサリンの何気ないふるまいをきっかけにして否応なしに変わってゆく。ある者…

『スペードの女王』 横溝正史 角川文庫

●『スペードの女王』 横溝正史 角川文庫 読了。 なんとなく新規の本を読む気がしなかったので、こちらを再読。何度目か分からないが、九年ぶりである。もちろん内容はきれいさっぱり忘れている。今回はメモを取りながら読んでみることにした。読書会向けの読…

『シャンパンは死の香り』 R・スタウト 論創社

●『シャンパンは死の香り』 R・スタウト 論創社 読了。 誰にも毒を投入できたはずのないシャンパンを飲んで死亡する被害者。誰にも、ということは被害者自身にもできなかったわけで、つまりは自殺説の否定こそが作品の重点である。状況は不可能犯罪だが、不…

『未来学園』 都筑道夫 本の雑誌社

●『未来学園』 都筑道夫 本の雑誌社 読了。 「都筑道夫 少年小説コレクション」の第五巻。単行本初収録の作品がある点も含め、まず読めることに意義のあるタイプの本である。なにしろジュブナイル作品集なので、いい歳こいたオヤジ(私)が読んで素直に楽し…

『アパートの鍵貸します』 B・ワイルダー/I・A・L・ダイアモンド 論創社

●『アパートの鍵貸します』 B・ワイルダー/I・A・L・ダイアモンド 論創社 読了。 題名とビリー・ワイルダーの名前とをどこかで見かけたことがあるという程度の、事実上予備知識ゼロで読んだ。なるほどこれは面白い。伏線やくすぐりの妙もある。ぜひ映画…

『青い密室』 鮎川哲也 出版芸術社

●『青い密室』 鮎川哲也 出版芸術社 読了。 名探偵星影龍三全集の第二巻である。「薔薇荘殺人事件」は、さすがの出来栄え。盛り込まれた数々の仕掛けがお見事。「悪魔はここに」は、(伏字)をカモフラージュするための犯人の知恵が嬉しい。表題作「青い密室…

『エソルド座の怪人』 若島正編 早川書房

●『エソルド座の怪人』 若島正編 早川書房 読了。 異色作家短編集第二十巻、「世界篇」である。エジプト、チェコ、ウルグアイ、といった世界各国の作家の、文字通り異色な作品を集めたもの。珍味を賞翫する楽しさは確かにあるけれども、私が求めているものと…

『罠の怪』 志村有弘編 勉誠出版

●『罠の怪』 志村有弘編 勉誠出版 読了。 「べんせいライブラリー ミステリーセレクション」の一冊である。このアンソロジーシリーズには、今ではほとんど忘れられた昔の娯楽色の強い探偵小説がちょいちょい収録されていて、珍品を読む面白さがある。 大下宇…