累風庵閑日録

本と日常の徒然

2024-12-01から1ヶ月間の記事一覧

『シャンパンは死の香り』 R・スタウト 論創社

●『シャンパンは死の香り』 R・スタウト 論創社 読了。 誰にも毒を投入できたはずのないシャンパンを飲んで死亡する被害者。誰にも、ということは被害者自身にもできなかったわけで、つまりは自殺説の否定こそが作品の重点である。状況は不可能犯罪だが、不…

『未来学園』 都筑道夫 本の雑誌社

●『未来学園』 都筑道夫 本の雑誌社 読了。 「都筑道夫 少年小説コレクション」の第五巻。単行本初収録の作品がある点も含め、まず読めることに意義のあるタイプの本である。なにしろジュブナイル作品集なので、いい歳こいたオヤジ(私)が読んで素直に楽し…

『アパートの鍵貸します』 B・ワイルダー/I・A・L・ダイアモンド 論創社

●『アパートの鍵貸します』 B・ワイルダー/I・A・L・ダイアモンド 論創社 読了。 題名とビリー・ワイルダーの名前とをどこかで見かけたことがあるという程度の、事実上予備知識ゼロで読んだ。なるほどこれは面白い。伏線やくすぐりの妙もある。ぜひ映画…

『青い密室』 鮎川哲也 出版芸術社

●『青い密室』 鮎川哲也 出版芸術社 読了。 名探偵星影龍三全集の第二巻である。「薔薇荘殺人事件」は、さすがの出来栄え。盛り込まれた数々の仕掛けがお見事。「悪魔はここに」は、(伏字)をカモフラージュするための犯人の知恵が嬉しい。表題作「青い密室…

『エソルド座の怪人』 若島正編 早川書房

●『エソルド座の怪人』 若島正編 早川書房 読了。 異色作家短編集第二十巻、「世界篇」である。エジプト、チェコ、ウルグアイ、といった世界各国の作家の、文字通り異色な作品を集めたもの。珍味を賞翫する楽しさは確かにあるけれども、私が求めているものと…

『罠の怪』 志村有弘編 勉誠出版

●『罠の怪』 志村有弘編 勉誠出版 読了。 「べんせいライブラリー ミステリーセレクション」の一冊である。このアンソロジーシリーズには、今ではほとんど忘れられた昔の娯楽色の強い探偵小説がちょいちょい収録されていて、珍品を読む面白さがある。 大下宇…