●『消える魔術師の冒険』 E・クイーン 論創社 読了。
ラジオドラマ集第四弾である。今回はなんと脚本から直接訳したそうで。こんな本が読めるのも熱心な研究者、翻訳者のおかげである。
収録作中のベストは「不運な男の冒険」で、意外性も十分だし(伏字)だったことを示す伏線が秀逸。
他に悪くない作品は、真相が気に入った「タクシー男の冒険」、展開の捻りが効いた「赤い箱と緑の箱の冒険」といったところ。「十三番目の手がかりの冒険」は、奇妙な品々に意味を見出す展開がいかにもクイーンらしく、こういうのも嬉しい。
そして巻末解説がお見事。読みどころをきっちり示してくれて、これぞまさしく解説である。未訳の脚本がもう一冊分あるという。それらもぜひ刊行されて欲しい。