累風庵閑日録

本と日常の徒然

『日本の歴史をよみなおす(全)』 網野善彦 ちくま学芸文庫

●『日本の歴史をよみなおす(全)』 網野善彦 ちくま学芸文庫 読了。

 日本に関する新鮮な観方を教えてくれるエキサイティングな本であった。とうてい要約することはできないので、いくつかの章を例として挙げておく。

 第三章「畏怖と差別」では、国宝の絵巻「一遍聖絵」を従来とは異なる視点で読み解き、差別と鎌倉新仏教との関わりについて考察が行われる。続編第一章「日本の社会は農業社会か」では、百姓という言葉は本来多くの姓を持つ一般人を意味するのに、その言葉が農民を指すことになっているのはなぜか、という問いかけから説き起こし、日本社会の実像を再構築してみせる。

 続編第二章「海からみた日本列島」では、海に閉ざされた島国ではなく海路によって広くアジアに開かれた日本の姿を描き出す。

●注文していた本が届いた。
『幽霊の接吻』 宮野村子 盛林堂ミステリアス文庫