●『正義の四人/ロンドン大包囲網』 E・ウォーレス 長崎出版 読了。
信念に基づき大臣暗殺を目論む四人組。果たしてその計画は成功するのか。面白いというより、感心しながら読んだ。上手い。全く上手い。中だるみすることなく、四人組の前にきちんきちんとトラブルが立ちはだかってゆく。どうやって暗殺を実行するのか、その手段への興味もある。
しかもストーリーの起伏の匙加減がちょうどいいのだ。極端な設定や極端な捻りで間口を狭めたりしない。さらに、二十世紀初頭の作品にしては台詞回しも描写も簡潔である。読んでいて実に分かりやすく、ストレートに頭に入ってくる。本書が第一作だということだが、その後流行作家になってゆくだけのことはあると思う。物語作りの手腕がさすがである。