累風庵閑日録

本と日常の徒然

「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクト第二十五回

●「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクトの第二十五回として、第五巻から短編三作品を読んだ。訳者は全て和気律次郎である。「分解機」はチャレンジャー教授もので、教授の破天荒な造形が活かされている好編。十ページほどの分量を切れ味で読ませる。

「スペデイグのドロッパアの話」はクリケットが題材で、ルールを知らないから試合の描写がちんぷんかんぷんだったが、展開で楽しめる。無名の選手が特殊な投法を編み出し、国際試合のメンバーに大抜擢される話。彼は天才ではなく努力型の凡人で、人間味のある造形がストーリーの起伏にもつながっている。チーム選考を巡って熱烈なクリケットファン達が侃々諤々する様に、ユーモラスな味がある。

「世界が悲鳴を揚げた時」もチャレンジャー教授もの。なんとも壮大なホラ咄である。再読なので何が起こるかの興味はないが、馬鹿馬鹿しい面白さはある。

●わずかな読書時間以外は、昨日の読書会の録音データから文字起こしをやっていた。集中力が全然続かないので、休み休みで丸一日かかってしまった。これから内容を整理して推敲して、月曜にはアップできればいいのだが、もう少々遅くなるかもしれない。