累風庵閑日録

本と日常の徒然

 『ドイル全集4』 C・ドイル 改造社

●「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクトの第二十一回として、長編「ロドニー・ストーン」を読んだ。老年に達した主人公ロドニーの回想形式で語られる、少年の成長物語である。そこには無為徒食する貴族階級への冷めた視線や、むき出しの愛国心、無邪気なスポーツ礼賛といったものが見受けられる。

 題材としてはボクシング小説で、ロドニーの幼年期からの親友、ジム・ハリスンが拳闘選手として活躍する。こちらが副主人公である。ジムもまた、物語の中で成長してゆく。

 昔の小説だからどうしてもスローテンポで、正直なところやや退屈な部分もあった。だが、賭けボクシングにまつわるお決まりのサスペンスがあり、さらには過去の殺人に関する意外性も盛り込まれていて、全体としてつまらないわけではない。

 これで第四巻を読了した。来月からは第五巻を読み始める。

●昨日開催された横溝正史オンライン読書会の文字起こしをやる。今回フリーソフトの文字起こし向けプレイヤーを導入して、効率が大幅にアップした。便利な機能がいくつか付いていて助かる。