累風庵閑日録

本と日常の徒然

『ゴルファー シャーロック・ホームズの新冒険』 B・ジョーンズ ベースボール・マガジン社

●『ゴルファー シャーロック・ホームズの新冒険』 B・ジョーンズ ベースボール・マガジン社 読了。

 シリーズ前作『~冒険』は短編集だったが、今回は長編である。組織的なインチキ賭けゴルフが横行し、多くのゴルファー達が大金や土地、屋敷を失っていた。組織の黒幕はモリアーティ教授である。このままではゴルフがインチキスポーツと見做されるようになる。エドワード皇太子の依頼を受けたホームズが、紳士のスポーツとしてのゴルフを守るために立ち上がった。

 ホームズのゴルフの腕前は英国一だという設定である。超一流の頭脳と超一流の身体能力とが同居する造形はあまりにスーパーマンすぎて、読んでいて冷静になる。それでも、悪徳ゴルファー達をコテンパンにやっつけるストーリーはそれなりに痛快である。ホームズが駆使する推理とゴルフの技量と入念な下準備と敵の計略に対抗する計略と、そういった表裏の駆け引きが、賭け試合を終えた後で明かされる。その辺りがミステリの謎解きに相当する読みどころ。私はゴルフを知らないけれども、知っている人はもっと楽しめるのかもしれない。