累風庵閑日録

本と日常の徒然

「金座太平記」その他

●九月の横溝イベントに向けて、隙間時間に関連作品をちょいちょい読んでいる。これまでに「金座太平記」、「妖説孔雀の樹」、「三本の矢」、と読んでいった。「金座太平記」は緋牡丹銀次捕物帳の一編で、「夜光虫」の基本骨格を保ったまま時代小説に仕立て直したもの。もともと「夜光虫」には江戸情緒が漂っていたし道具立ても古風だったので、何ら違和感がない。正史の再話の技量がよく分かる作品である。

「妖説孔雀の樹」と「三本の矢」は、「夜光虫」冒頭の川開きのシーンをアレンジして再利用したもの。正史はよほどこのシーンがお気に入りだったらしく、他にいくつもの作品で再利用している。それらも追々読んでいく予定である。人形佐七もの「三本の矢」については、「夜光虫」の系譜であると同時に金田一もの「死神の矢」の原形としても位置付けられる。弓矢での婿選びという、アレだ。

●注文していた本が届いた。
江戸川乱歩年譜集成』 中相作編 藍峯舎