登場人物の多くが癖のある中高年のおっさんなので、読んでいて疲れる。扱われている題材が組織内政治だとか家族の軋轢だとか行政手続きの煩雑さだとか、身に覚えのあることで読んでいてしんどい。
そうはいっても、じわじわと真相が明らかになってゆく展開は面白いし、業界内幕ものの興味もある。(伏字)発想にはへええ、と思った。終盤の二転三転する盛り上がりも読み応えがある。一点ひっかかったのが、キーとなるある証言にからむ趣向。やりたいことは分かるしそれだけ抜き出したら面白いネタだけれども、この処理の仕方はちょっとだけずるいなあと思う。