●『アパートの鍵貸します』 B・ワイルダー/I・A・L・ダイアモンド 論創社 読了。
題名とビリー・ワイルダーの名前とをどこかで見かけたことがあるという程度の、事実上予備知識ゼロで読んだ。なるほどこれは面白い。伏線やくすぐりの妙もある。ぜひ映画を観てみたくなった。どうやらネット配信で流れているようだから、近いうちに観てみることにする。
それはいいのだが、どうも薄っぺらな読み方をしてしまった気がしてならない。ふんふん面白い、と最後までページをめくって終わり。巻末にインタビューが収録されている三谷幸喜や訳者殿の心酔ぶりから、間接的にこの作品の凄さが伝わってくる。大量の注釈等からして、いろいろ深読みできる余地がありそうだ。映画を何度も観て本書を読み込めば、もっと見えてくるものがあるのかもしれない。
それはそうと、本書は論創海外ミステリの一冊である。この内容をミステリを謳うレーベルで出すのは不思議な気もするが、論創社さんならやりそうなことだ。クロフツの聖書本なんて過去の例もあるし。