累風庵閑日録

本と日常の徒然

「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクト第二回

●「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクトの第二回をやる。今回は第一巻の収録作から「四人の署名」を読む。訳者は延原謙である。前回読んだのは十二年前。この作品は読む度にだんだん好きになってくる。

 コンパクトな中に怪奇冒険スリラーの要素が詰め込まれている。笑う死体、屋根裏部屋の子供の足跡、なんてお膳立てが秀逸。他にも、隠されたインドの財宝、暗躍する怪人、水上での追跡劇、そして異国の地での命がけの冒険ってなもんで。途中で犬のトビイがやらかす"外し"のエピソードが微笑ましい。ワトソンのモースタン嬢に対するメロメロっぷりも楽しい。