安定のロスマク印。複数の家族が絡む複雑な事件が、いつもの読み応えである。脇筋と思っていた流れが突如メインのストーリーとなって立ち上がってくる捻りっぷりもお馴染み。それに伴って些細な脇役が、突如キーパーソンとなってリュウ・アーチャーの目に映りだす。
人間関係をしっかり頭に入れながら気を入れて読み進めなきゃならないのは疲れるけれども、意外な犯人が明らかになり全てが収まるところに収まった結末に到着すると、本格ミステリを読み終えたときのような満足感が得られる。
アーチャーが事件の真相に至るきっかけとなった重要なエピソードが(伏字)だというのが、あれれれと思ったけれども。この点はもう少し練り込まれてもよかったのでは、と今更ない物ねだりをする。