累風庵閑日録

本と日常の徒然

2019-05-01から1ヶ月間の記事一覧

金時計

●お願いしていた本が届いた。 『金時計』 P・アルテ 行舟文化 素晴らしい。おまけの小冊子「花売りの少女」も付いている。 ●今月の総括。 買った本:十二冊 読んだ本:十冊 買う方は、文フリと予定外の本とで数が増えてしまった。読む方は、細切れのつまみ…

「横溝正史が手掛けた翻訳を読む」第十二回

●昨日は、今日から新たな本を読み始めるつもりであったが、今朝になって気が変わった。横溝プロジェクト「横溝正史が手掛けた翻訳を読む」の第十二回をやることにする。 ◆「乗合馬車」 ジョセフ・ハーゲシャイマア (昭和八年『新青年増刊』) 嫌な話。近所…

明日からは別の本

●泡坂妻夫の曾我佳城を半分まで。こいつを中断して、明日からは別の本を手に取る。フリーマンも中途半端だし、本のつまみ食いが多くなってきた。でも、そういう気分なんだからしょうがない。 ●書店に寄って本を買う。 『ミステリマガジン 7月号』 早川書房 …

「赤い拇指紋」フリーマン

●午前中は野暮用。帰宅して昼寝してから、午後は本を読む。改造社の世界大衆文学全集第六十巻『ソーンダイク博士』から、収録の長編「赤い拇指紋」を読了。 どうもフリーマン殿、捻りだとか意外性だとか、そういう方面には関心が薄いようで。その昔創元推理…

『銀の墓碑銘』 M・スチュアート 論創社

●『銀の墓碑銘』 M・スチュアート 論創社 読了。 まず、オープニングが魅力的。私には何も起こらない、と思っていた主人公に突如降りかかった、奇妙な人違い。その出来事をきっかけに、彼女は自ら冒険に巻き込まれてゆく。まるでクリスティーの冒険スリラー…

『道化の町』 J・パウエル 河出書房新社

●『道化の町』 J・パウエル 河出書房新社 読了。 なんとも不思議な短編集であった。プードルは人間と会話し、オランウータンは王として君臨する。金の卵を産む鶏はガラスの塔から盗まれ、道化師はパイで殺される。 いろんなタイプの作品が収録されているの…

思考機械

●書店に行って、取り寄せを依頼していた本を受け取ってくる。 『思考機械 完全版 第1巻』 J・フットレル 作品社 久しぶりに、ちょっと大きな買い物をした気分だ。

『宮原龍雄探偵小説選』 論創社

●『宮原龍雄探偵小説選』 論創社 読了。 収録作には、トリックのアイデアで勝負する作品が多い。終盤で種明かしだけが投げ出すように提示され、伏線も解明に至る筋道もあまり書かれていないそんな作品は、どうも胸に響かない。(以下、もう少し強い表現でい…

『象は忘れない』 A・クリスティー クリスティー文庫

●『象は忘れない』 A・クリスティー クリスティー文庫 読了。 中心となるネタには、割と簡単に気付くことができた。したがって驚きはない。結末で書かれる、真相解明に至る筋道は(伏字)というタイプで、どうも好みではない。ミステリ的興趣は、残念ながら…

『麺’sミステリー倶楽部』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫

●『麺’sミステリー倶楽部』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫 読了。 ちょいと低調であった。人情噺は嫌いだし、現代社会の闇をえぐるような陰湿な話も読まなくていい。そんなのは現実だけで沢山である。ユーモアミステリは、そのユーモアの部分に乗れな…

『ずれた銃声』 D・M・ディズニー 論創社

●『ずれた銃声』 D・M・ディズニー 論創社 読了。 平凡な老婦人が射殺された。動機は見当たらず、めぼしい容疑者も、凶器の銃も、銃弾さえも見つからない。捜査が膠着する中、次第にある一族の数十年に渡る物語が見えてくる。 どうやらこの作家、外連味や…

『謎のギャラリー -名作館 本館-』北村薫 新潮文庫

●『謎のギャラリー -名作館 本館-』北村薫 新潮文庫 読了。 文学に縁遠い人生を歩んできたので、この本を読むと彼我の情報量のあまりの差に呆然とする。文学どころか、私はミステリもあまり読んでいない、と思ってしまう。 様々な小説を展示した空想上の美…

『サイモン・アークの事件簿I』 E・D・ホック 創元推理文庫

●『サイモン・アークの事件簿I』 E・D・ホック 創元推理文庫 読了。 サム・ホーソーンのシリーズでは、不可能興味と事件に対する興味とが、ほぼ一体となっていた。ところがこのサイモン・アークのシリーズでは、ひとつの作品中に複数の焦点がある場合が少…

『水谷準探偵小説選』 論創社

●『水谷準探偵小説選』 論創社 読了。 瓢庵先生捕物帖シリーズのうち、人形佐七がゲスト出演する作品を網羅したという編集方針が嬉しい。内容自体もミステリ趣味が濃く、読んで楽しい良質の作品集であった。 「銀杏屋敷」 冒頭の奇怪な謎に意外な動機。これ…

『幻のテン・カウント』 鮎川哲也編 講談社文庫

●『幻のテン・カウント』 鮎川哲也編 講談社文庫 読了。 収録作中のベストは飛鳥高「犠牲者」であった。伏線も、分析的推理も、真相の絵柄も秀逸。仁科透「Fタンク殺人事件」は犯人の性格設定が毒々しいが、それよりもおぞましいのは(伏字)の造形である。…