累風庵閑日録

本と日常の徒然

『ドイル全集8』 C・ドイル 改造社

●「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクトの最終回、第四十回として、第八巻で読み残していた「爐邊物語」後半の六編百ページほどを読んだ。そのうち四編は再読だったし、初読の「B二十四號」もストレートすぎる展開でさして感銘を受けず。せっかくの最終回だが、やや作業感のある読み方になってしまった。「色黒醫師」は(伏字)ネタが真相だったのでちと腰砕け気味ではあるが、途中の捻りが面白い裁判小説であった。

●これで改造社のドイル全集全八巻を読破した。約三年半に渡る個人的プロジェクトが完結した訳で、それなりの達成感がある。通読してみて、結局一番面白かったのはホームズシリーズだった。

 ところで、もともとこのプロジェクトは「横溝正史が手がけた翻訳を読む」プロジェクトから派生したものであった。名義貸しとはいえ、第八巻「爐邊物語」や他の巻の収録作の一部が横溝訳となっているので、こちらのプロジェクトも完結したことになる。それなりの達成感がある。