累風庵閑日録

本と日常の徒然

『劇場の迷子』 戸板康二 創元推理文庫

●一夜明ければ新玉の春でございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

●『劇場の迷子』 戸板康二 創元推理文庫 読了。

 一編一編慈しむように、六日間かけてゆっくり読んでいった。人の心の機微を描いて滋味横溢。全く素晴らしい。べた褒めしておく。幕切れがまたいい感じにキマッている作品が多い。驚くべき打率の高さで秀作佳作が多いので、個別の作品名は挙げない。一編だけ、定型から少し外れた「おとむじり」が、その外れ具合も含め実にもうお見事であった。

●今年の展望を書いておく。本は月に十冊、年間で百二十冊は読みたい。その中で、残りあと一冊になった中村雅楽探偵全集と、残り二冊の立風書房新青年傑作選を読み終えたい。

 大物としてはウィルキー・コリンズの三巻本長編を読みたい。こいつはちょいとしんどくて、いざ手に取るためには多少の覚悟が必要である。部屋の中に埋もれている捜し物が見つかったら、新たに個人的プロジェクトを発足させたい。まず探すのが億劫で、これも少々覚悟の要る事案である。

●横溝関連では、いくつか原稿を書かなければならない。四月までに三本、夏頃までに二本書く。そのうち一本は九割方完成しているけれども、最後の仕上げをしたい。他の原稿はそのために本を読まなければならず時間がかかるので、早めに取り組みたい。

 Xのスペースを使った横溝企画をひとつ考えていて、何人かのお方にご協力の内諾をいただいている。これを具体化させたい。以上は自分自身が主体的に取り組む案件だが、他にスタッフとして関わるイベントが二月にある。これも楽しみである。

 横溝読書会は、開催したい意欲は十分にある。最近みなさんお忙しいようなので、ちょっとタイミングを見計らっている。

●旅行関連では、比較的遠距離のネタがふたつある。ここ数年でベタな観光旅行をしたい気分が盛り上がっているので、その方向でいくつかプランを考えている。その他温泉にも何度か行きたい。もちろん秋の倉敷イベントも予定に入れている。そうそう、忘れちゃいけない、旅行と横溝とをからめたネタがひとつあるのだった。