累風庵閑日録

本と日常の徒然

『マッド・サイエンティスト』 S・D・シフ編 創元推理文庫

●『マッド・サイエンティスト』 S・D・シフ編 創元推理文庫 読了。

 題名の通り、サイエンスにのめり込んで一線を踏み越えた者達をテーマにしたアンソロジーである。三十年以上昔に読んで以来の再読で、よほど印象に残った作品以外はきれいさっぱり忘れていた。だが、読んでみると案外思い出すものである。

 ラムジー・キャンベル「自分を探して」は、序盤は読者に分からせないように書いてある状況が徐々に見えてくると、その状況の絵柄がグロテスクでいい感じ。グロテスクさでいえば、ジョゼフ・P・ブレナン「スティルクロフト街の家」、リチャード・C・マシスン「あるインタビュー」、H・P・ラヴクラフト「冷気」といった辺りも捨てがたい。どれもこれも、映像で観てみたい逸品である。

 カール・H・トンプスン「粘土」は、不穏な描写を積み重ねながらじわじわと話を盛り上げてゆくストレートな怪奇小説で、結末のインパクトもまたストレートな味わいの秀作である。

 怪奇小説流の説得力を発揮する結末で深く記憶に残る名編、レイ・ラッセル「サルドニクス」を巻頭に配し、叙情味の勝った名作、レイ・ブラッドベリサルサパリラのにおい」を末尾に置いて、その間を粒揃いの秀作で埋める傑作アンソロジーであった。

●書店に寄って本を買う。
『吸血鬼ラスヴァン』 G・G・バイロンほか 東京創元社

●定期でお願いしている本が届いた。
『デイヴィッドスン事件』 J・ロード 論創社
『クロームハウスの殺人』 G・D・H&M・コール 論創社

●注文していた本が届いた。
『『新青年』趣味XXII』 『新青年』研究会

●いろいろ届いて買って、また積ん読が増えてしまった。