累風庵閑日録

本と日常の徒然

『小さな壁』 W・グレアム 論創社

●『小さな壁』 W・グレアム 論創社 読了。

 この作品に対するアプローチは、登場人物の感情や価値観や様々な想いに寄り添うようにゆっくり読み進めるのがまっとうな態度なのかもしれない。生来せっかちなので、どうしてもストーリーを追う読み方をしてしまう。人間ドラマとしてそれなりの面白さはあったが、ミステリを読んだ満足感には乏しい。申し訳ないが私はこの作品のいい読者になれそうにない。巻末解説によれば、グレアムは人間を書くために仕方なく事件を書いているそうで。なるほどそりゃあ、私の嗜好とは隔たりがあるわけだ。