累風庵閑日録

本と日常の徒然

『子供たちの探偵簿3 夜の巻』 仁木悦子 出版芸術社

●『子供たちの探偵簿3 夜の巻』 仁木悦子 出版芸術社 読了。

 長編「灯らない窓」は、大人と子供とがそれぞれ事件に取り組む様子が交互に綴られる。片方しか知らない情報もあれば、両方同じ対象を観ているのに視点が異なる情報もある。ふたつのアプローチが真相の一点に収束するまで読者を導いてゆく構成力に感心した。

「小さい矢」は、カーかチェスタトンかという趣向が私好み。「聖い夜の中で」は、殺された方はたまったもんではないが殺人者の心情に哀れを催してしまう。ちょいとヘヴィーな話。