累風庵閑日録

本と日常の徒然

『踊り子の死』 J・マゴーン 創元推理文庫

●『踊り子の死』 J・マゴーン 創元推理文庫 読了。 大量の伏線が嬉しい。初読の者が途中で気付ける性質の伏線ではないけれども、最後になっていちいち後戻りして確かめる作業が楽しい。 物語の進展にしたがって容疑者がくるくると変わってゆく。その中で、…

今月の総括

●今月の総括。買った本:四冊読んだ本:十冊 購入量が少なくて、いいことである。

『加納一朗探偵小説選』 論創社

●『加納一朗探偵小説選』 論創社 読了。 収録の三長編を、先月から一編ずつ読んでいった。 「ホック氏の異郷の冒険」 その昔角川文庫で読んでいるが、内容は全く覚えていないので初読同然である。一歩一歩着実に事件がほぐれてゆく展開が私好み。隠し場所に…

『森下雨村探偵小説選III』 論創社

●『森下雨村探偵小説選III』 論創社 読了。 第二巻を読んで、雨村の作風は分かっている。偶然に偶然を重ねてその上から偶然を振り撒くのだ。最初から期待値低めで臨んだので、ロジックや推理の妙味がわずかでも漂っていればそれなりに満足である。 「魔の…

『ミステリは万華鏡』 北村薫 集英社文庫

●『ミステリは万華鏡』 北村薫 集英社文庫 読了。 ミステリを中心に、文学や絵画やその他いろいろまで広い題材を扱うエッセイ集である。どうもこういうものの感想を書ける気がしない。読んだという記録としてここに書いておく。

『首』 横溝正史 角川文庫

●『首』 横溝正史 角川文庫 読了。 「生ける死仮面」 グロさを前面に出した愛欲と情念の物語(伏字)のが気に入った。 「花園の悪魔」 同年に発表された長編「幽霊男」から、いくつかの要素を抜き出して再構成したような作品。動機の異様さが甚だしい。 「首…

「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクト第十回

●「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクトの第十回として、第二巻を読み進める。今回読むのは、「シヤアロツク・ホウムズの事件録」の後半六編である。 「這ふ男」は、物語をあそこで終わらせずにもっと発展させたらストレートな(伏字)ホラーになる…

『小酒井不木探偵小説選II』 論創社

●中断していた『小酒井不木探偵小説選II』 論創社 を再開して読了。 霧原警部ものの二編「呪はれの家」と「謎の咬傷」とは、科学的捜査法が作者の意図した読みどころなのかもしれんが、むしろ奇天烈な真相の方が記憶に残る。シリーズ以外にも、題名は書か…

『村山槐多 耽美怪奇全集』 学研M文庫

●『村山槐多 耽美怪奇全集』 東雅夫編 学研M文庫 読了。 およそどんな対象にも、マニアさんはいるだろう。村山槐多マニアにとっては、本書は感涙ものの一冊ではないかと想像する。収録内容は小説に詩に、ノンフィクションの紀行文まで。なんと未完成の作品…

誤配書簡

●読んでいた論創ミステリ叢書の、ページをめくる手が止まってしまった。つまらないわけではないのだが、どうも頭が受け付けなくなった。こういうことはたまにあるのだ。中断して明日から別の本を読むことにする。 ●注文していた本が届いた。 『誤配書簡』 W…

『ロンリーハート・4122』 C・ワトソン 論創社

●『ロンリーハート・4122』 C・ワトソン 論創社 読了。 これは上出来。結婚相談所を巡るふたつの筋道が並行して語られる。そのうち片方では、女性二人の行方不明事件にシリーズキャラクターのパーブライト警部が取り組む。やがて結婚詐欺師に殺された死…

『番町皿屋敷』 四代目旭堂南陵・堤邦彦編 国書刊行会

●『番町皿屋敷』 四代目旭堂南陵・堤邦彦編 国書刊行会 読了。 副題に「よみがえる講談の世界」とある。明治時代に刊行された講談速記本の翻刻だそうで。特別付録として、南陵師匠が語る皿屋敷の口演CDが付いている。 皿屋敷の物語をちゃんと読むのは初め…

『マギル卿最後の旅』 F・W・クロフツ 創元推理文庫

●『マギル卿最後の旅』 F・W・クロフツ 創元推理文庫 読了。 今や記憶も定かではない四十年近く昔、あかね書房の少年少女世界推理文学全集で読んだ。内容は忘却の彼方だし、今回は大人向けの訳だし、ほぼ初読と言っていい。 なかなかの難事件で、捜査陣は…

『鮎川哲也探偵小説選』 論創社

●『鮎川哲也探偵小説選』 論創社 読了。 「白の恐怖」は再読。桃源社版を読んだのは十三年前である。忘れていた真相を途中で思い出すと、なるほどこのネタだったら(伏字)でないといけないってのが理解できる。 挿絵も含めて五ページほどの掌編シリーズ「探…

今月の総括

●今月の総括。買った本:五冊読んだ本:十冊 横溝読書会で「びっくり箱殺人事件」を読んだので、同時収録の「蜃気楼島の情熱」を再読すれば角川文庫『びっくり箱殺人事件』を読了数に計上できたのだが。「蜃気楼島~」って真相がヘビーなので、読むのにちょ…

『森下雨村探偵小説選II』 論創社

●『森下雨村探偵小説選II』 論創社 読了。 メインの長編「三十九号室の女」は、ホテルの一室での殺人事件を巡り、警察と主人公と二方面の探索活動が描かれる。前者の模様は私好みの地道なもので、これは読ませると期待した。ところが後者の主人公とその友…

『バジル』 W・コリンズ 臨川書店

●『バジル』 W・コリンズ 臨川書店 読了。 「ウィルキー・コリンズ傑作選」の第一巻である。なにしろ十九世紀半ばの作品だから、まどろっこしくて退屈で、時代がかって大仰で、読むのがしんどいだろうと思っていた。だが読み始めるとその予想はいい方向に完…

第五回オンライン横溝読書会『びっくり箱殺人事件』

●第五回オンライン横溝読書会を開催した。課題図書は『びっくり箱殺人事件』。雑誌『月刊読売』に、昭和二十三年に連載された作品である。参加者は私を含めて十名。 ●会ではネタバレ全開だったのだが、このレポートでは当然その辺りは非公開である。なお各項…

『オリエント急行の殺人』 A・クリスティー クリスティー文庫

●『オリエント急行の殺人』 A・クリスティー クリスティー文庫 読了。 記憶が定かでないが、四十年ぶりに近い再読。初読は新潮文庫だったが、その本はいつの間にか染みだの黴だのでボロボロになっていて、やむを得ず処分した。持っておきたい作品なのでクリ…

「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクト第九回

●「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクトの第九回として、第二巻を読み進める。今回読むのは、「シヤアロツク・ホウムズの事件録」の前半六編である。訳者は横溝正史としてある。だが実際のところは名義貸しらしい。 いまさら感想でもないので、コメ…

『松本泰探偵小説選III』 論創社

●『松本泰探偵小説選III』 論創社 読了。 ネガティブな感想を書いた部分はごっそり非公開。そうすると、公開できる部分はわずかしか残らない。この本は私の好みではない。 「濃霧」は主人公が盲目なるが故のサスペンスかと思ったらそうでもない。途中から…

『シャーロック・ホームズの知恵』 長沼弘毅 朝日新聞社

●『シャーロック・ホームズの知恵』 長沼弘毅 朝日新聞社 読了。 そつなく簡潔に書かれた、オーソドックスなシャーロキアン本。という捉え方はもちろん間違いなので。既存の基準に照らしてオーソドックスなのではなく、本書こそがまさしく基準となるべき基本…

『魔都』 久生十蘭 朝日文芸文庫

●『魔都』 久生十蘭 朝日文芸文庫 読了。 流麗な文章で語られる、複雑怪奇な都市綺譚。新聞記者古市加十の登場で幕を開けた物語は、やがて複数に分岐し、合流し、再び離散し混淆し、変転止まるところを知らず。デマと嘘と勘違いとすれ違いとが交錯し、欲と嫉…

『証拠は語る』 M・イネス 長崎出版

●『証拠は語る』 M・イネス 長崎出版 読了。 教授連の奇矯さと、殺人の真相について彼らが主張する奇説珍説とがひとつの読み所。その辺りの味わいはユーモアミステリというより、真顔で冗談を言うタイプの可笑しさがある。 一番気に入ったのは、アプルビイ…

『甲賀三郎探偵小説選III』 論創社

●『甲賀三郎探偵小説選III』 論創社 読了。 甲賀三郎って、ページ数の割に複雑すぎるネタを盛り込む癖があるのだろうか。最後の二ページくらいで、二重三重に入り組んだ真相がぶちまけるように明かされる作品がちょいちょいある。伏線も推理の過程もなく…

『保篠龍緒探偵小説選II』 論創社

●『保篠龍緒探偵小説選II』 論創社 読了。 第一巻を読んで作風は分かっている。冒頭の長編「白狼無宿」は、伏線やロジックや捻りや意外な真相といった要素を一切期待しなければ、それなりに読める。展開が速くて派手。格闘アクションが割と丁寧に描かれて…

『ぺてん師と空気男』 江戸川乱歩 光文社文庫

●さて、一夜明ければ新玉の春でございます。本年もよろしくお願い申しあげます。 ●例年ならどこか手頃のビジネスホテルに泊まりに行って年を越すのだが、今はそんな状況ではない。寝ても起きても自宅のままである。こうなると正月なんて有って無いようなもの…

年内最終更新

●年内最終更新である。今年は社会的には大変な波乱の年であったが、個人的にはさしたる影響もなく、むしろ電車通勤が減って楽になったほどである。 飲みにも行かず旅行にも行かなかったので、生活のコストが大幅に下がった。金を使った対象は、生活必需品と…

細切れに読む

●論創社の『加納一朗探偵小説選』は、長編が三作も収録されていて一気に通読するのはしんどい。来年に向けて細切れに読んでいくことにして、まずは「ホック氏の異郷の冒険」を読んだ。面白かった。感想は全部読んでから。

『歴史の話』 網野善彦 鶴見俊輔 朝日文庫

●頭がフィクション疲れを起こしているので、口直しに手に取った『歴史の話』 網野善彦 鶴見俊輔 朝日文庫 を読了。 「日本史を問い直す」という副題が付いた対談集である。読み手に相応の知識があることを前提に語られているので、半分くらいしか理解できな…