累風庵閑日録

本と日常の徒然

『ラッフルズ・ホームズの冒険』 J・K・バングズ 論創社

●『ラッフルズ・ホームズの冒険』 J・K・バングズ 論創社 読了

 前半の、表題短編集が面白かった。探偵であると同時に犯罪者でもある主人公の設定が、十分に活かされた好シリーズである。詐欺や泥棒といった犯罪の要素と、犯罪の解決という探偵の要素とが混在し、しかも主人公自身がその両方を担っている。どれも十ページそこそこで決着する展開は、密度が高くてきびきびとして、なかなか読ませる。また、主人公のキャラクターが秀逸。善と悪との相克に苦しむ描写が、決して深刻になっていない。それどころか、記録者ジェンキンスとの人間関係を描く材料として活用されており、時にはどたばた喜劇にまでなっている。

 後半のシャイロック・ホームズの十篇は、ううむ……
ラッフルズ・ホームズシリーズに比べてぐっとナンセンス味が増した、というより、法螺話そのもの。何かのアンソロジーに収録されているのを一編だけ読むのならいいが、あまりに内容が無さ過ぎて、これだけまとめて読むと飽きる。

●ジム始め。月曜にずっこけてから、今日まで先延ばししてしまった。久しぶりに筋トレをしてへろへろになる。