久しぶりに読む、ゴキゲンな倒叙ミステリである。軽快でサスペンスに富み、切れ味もある……なんてな形容を並べるとどうも薄っぺらだけども。シナリオだから当然会話がメインで改行だらけだし、多くのページで下の方には文字がない。本文は百四十ページしかない。感想を言語化しようと頭を巡らせる暇もなく、さっと読み終えた。読み終えると、どうも満ち足りてしまった。あれこれ語るのは巻末解説にお任せする。
この巻末解説がまたお見事。作者について、映画版との比較について、ミステリ的趣向について、大量の情報と興味深い視点とが盛り込まれ、これぞまさしく「解説」である。ヒッチコック映画は未見なので、近いうちにぜひ借りてこなければ、と思う。
ところで、展開のキモになる部分で一か所引っかかっているところがあるのだが。誰かとネタバレで語りたい。